男子の勝運、成長を願う祭礼として、永い歴史の中でお飾りの様式が磨かれてきた節句人形。
京都島津のお飾りは端午の節句の変遷を見守り続けた京の伝統様式を取り入れた五月人形です。
京ものとしての高い美意識と祈願の心が深く息づくお飾りは、精緻壮麗な五月人形として人々の心を魅了してきました。
大切なお子さまの一生を祝う節句人形だからこそ、一つひとつのお人形に真心を込めて丁寧にお仕度しています。
京都島津の五月人形には平安京よりの美の本流と祈願の心が深く息づいています。たとえば、壮麗な趣を際立たせる鎧兜。その美しさは「一に縅(おどし)、二に意匠」と讃えられています。歴史に培われた精緻華麗な縅の表情、金襴の西陣織の意匠などにも匠の技の冴えを見ることができます。また、兜鉢(かぶとの頭)・面頬(顔面の防具)・臑当て(臑の防具)は鉄板を丹念に打ち出し、鋲をもってカシメています。飾り金具の地金の厚さ、金物の彫りの精緻さなどは、京ものならではの伝統美が映える逸品です。
平安時代にはじまる端午の節句は鎌倉・室町時代を経て江戸時代には男子の厳粛な祭礼になっていきます。これにともないお飾りも精緻なものになっていきました。当時の京ものの特徴は史書にも見ることができ、「總テ京坂ノ方花美精製ヲ用フ家多ク」とあります。つまり、江戸物と比べて穏やかな表情をたたえ、その作りが極めて精緻であったことがわかります。京都島津では、京ものの証として金工、漆工、染織などはいずれも史実考証に忠実に基づき、すべてにおいて有職の匠が細部に至るまで名匠の心技を尽くしてお支度しています。
矢や刀から顔面を守る面具で、厚い地金を用い、伝統的技術が駆使されているのが京ものの特徴です。何よりにぶいつやめきのある重厚さが他のものとは異なります。
美しい染皮革の趣は、史実考証に基づく京ものならではの風格と伝統美を再現しています。細やかな施しとともに、日本の美意識が映える大鎧の壮麗な装具として仕上げています。
兜正面にある前立てには、素材と造りにこだわり、熟練の技が際立つ「木彫箔押龍頭」を採用。鱗の細かな模様など、節句人形の匠が一つひとつ手づくりで仕上げています。
裂地は西陣織金襴を用い、重厚な雰囲気のなかにも、華やかさを醸し出します。四角い金属片を鎖で編み上げた瓦佩楯は、史実考証に基づき手の込んだ細工を施しています。
兜正面にある前立てには、素材と造りにこだわり、熟練の技が際立つ「木彫箔押龍頭」を採用。鱗の細かな模様など、熟練の匠が一つひとつ手づくりで仕上げています。